あまり知られていない、東洋医学・中医学について

その魅力をやさしく・わかりやすく、項目別にブログ形式で

お伝えしていくページにしようと思っています☆

 

ちなみにチャングムは韓国なので「韓医学(はんいがく)」です(^_^)

 

 

 

HSC,HSPと鍼灸

 

皆さんはHSCという言葉をご存じでしょうか?

これはハイパー・センシティブ・チャイルドの略語で

直訳すると、「とても繊細なタイプの子ども」という意味の言葉です。

 

最近はASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー)やADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)と

色々な横文字が出てきて、また新しく増えたの!?と

ややげんなりして、意味だけを調べて本など読んでいなかったのですが

先日、書店で「子どもの敏感さに困ったら読む本」(誠文堂新光社・長沼睦雄著)という本が

平積みになっており敏感なお子さんや思春期の子が、よく治療に来られるので

遅ればせながら手に取りました。

 

本の始めに23項目のチェックリストがついています。

この項目の13個以上当てはまる、もしくは2~3個でもその特徴がかなり強ければ

HSCと考えてよいそうです。

早速、私も試したところ、大人になった今でも16個ほど当てはまり

HSCだったのかぁ、もっと早く知っていたかった~、としみじみしました。

 

本書ではHSCの子どもはASDやADHDのにくらべ「共感性」が強いのが特徴だと説明されています。つまり、「人の気持ちにとても敏感に反応する」ということです。

一見、これはいい性質のように思われますし、もちろん長所になりうるものですが、

これが裏目に出てしまうと、「人の気持ちにすごく左右されてしまいやすく、自我を持ちにくい」

という弱点になってしまうものでもあります。

 

たとえば、兄弟でお兄ちゃんが怒られているのに、

怒られていなくても近くにいた弟は自分も悲しくなって泣いてしまう

といったようなことが起こります。

親はすごく不思議に思いますが、弟はお兄ちゃんの痛みが

自分のもののように感じられたり、怒られたことを自分事に置き換えてしまっていたりします。

 

こういう子どもは、感受性がとても強いので、環境からの情報量が多すぎると

オーバーフローになり、「乖離(かいり)」といって、思考と感情、感覚がバラバラになる症状が出る、と書かれています。

 

実は、私も高校生のとき、乖離とは違うのですが、

少しこれと似た離人症症状が出ることがありました。

離人症というのは急に現実から切り離されたようになり、

生きているという感覚にリアリティがなくなって感じられる、というものです。

当時はなんだか分からなかったのですが、ストレスが原因で出る症状だそうです。

 

そんな経験が今の鍼灸師という仕事につながっているのですが

現在でも、人の多い閉鎖的な環境(ショッピングモールなど)に長くいると

同じような、状態になることがまれにあります。何かをすっぽりかぶされてしまったような

嫌な感覚になって、五感が鈍麻してしまうような感じです。

おそらく環境ストレスから起きる感覚麻痺のようなものではないかと思うのですが

そういう時、私の場合はシャワーを浴びたり、食べたり、お灸をしたりと体の感覚を

強く意識することで、もとに戻ります。

 

感覚が鋭敏、ということはいいことばかりではありません。

他の人からしたら「なんで?」と思われるようなことがしんどかったり

気になって仕方なかったりして、そのことのストレスと人に理解してもらえないストレスが

溜まっていきます。そんな自分の性質を知ることができれば、鋭敏さは長所として

活かしていけるようになるのだと思います。

 

話はそれましたがHSC、もしくはHSP(ハイパー・センシティヴ・パーソン)は

人口の20%ほどおり、病気や障害とはいえないが、生きづらさや、

理解されにくい過敏な感覚を抱えている、と本書にはあります。

なかにはスピリチュアルな感覚や、霊感のようなものを持つ人もおられるそうです。

 

うちの治療室はとくに感覚の鋭敏な方が多く来られる傾向にあるようですが

本当にまれに、お灸一個で劇的に心身の状態が変ってしまうような

超敏感な方がおられます。また、自分のことをセンシティヴではない、と思っているだけで

実はとても敏感な方もいらっしゃいます。

 

心がより敏感な方と、体が敏感な方、心身両方が敏感な方、それぞれ度合いはありますが

鍼灸はとくに目に見えない「気」を調整する側面もあるため、

過敏さで抱える心身のストレスを緩和させたり、時には過敏さを落ち着かせ

心身のバランスを保つのに、とても便利なものではないかと思います。

お家でお灸セルフケアをしてもらうだけでも、かなり変ってくる可能性も多いにあります。

 

西洋医学は客観的事実や数字、データを重視しますが、

東洋医学・中医学は患者さんの「感じていること」が診断において重要視されます。

数千年にわたって古人が臨床のなかで記録してきた膨大な経験値があり

顔色、脈、冷え、熱、痛み、重さ、驚きやすい、音に敏感など、細かい

情報を収集、統合して、体質を判別する方法が体系化されています。

今まで誰にも分かってもらえなかった感覚や症状を分かってもらえたり

対応策が取れるようになる可能性が十分にあると思います。

 

「子どもの敏感さに困ったら読む本」の著者、長沼氏は北海道でクリニックを開業し

児童のための脳と心と体の統合医療を行っておられるそうです。

そういうクリニックはまだまだ日本には少数なので

HSC、HSPの傾向があり、どうしたらよいのか困っている方は

一度、お近くの鍼灸院の門を叩かれてみてはどうか、と思います。

 

鍼灸を受けて良かった、自分の体のことやセルフケアの方法を知って

生活の質がずっと良くなった、と思ってくれる方が

一人でも増えてくれたら、これほど嬉しいことはありません。

 

 

 

薬膳について思うこと

最近、緑書房から出ている『薬膳の基本』という本を図書館で見つけました。

著者は辰巳洋さんという中国人の方で、北京中医学院を出た後、軍医や医学雑誌の編集者などされていたそうです。現在は本草薬膳学院学院長をされているようです。

 

そんな訳で『薬膳の基本』は非常に本格的な良書です。

本気で体を調えるための本格レシピ集!といった感じで、理論も漢方なみにしっかりしています。

料理の写真も美しく、何というかレシピの説得力強いな、という感じがします。

レシピが充実しているので中医学の心得のない方でも、作って食べてみて

その効果を実感できることと思います。

 

中国では「食医」といって、料理人が最高の医師だとされていました。

漢方薬の医師がその次で、鍼灸師はその次にきます。

「上工治未病」といって素晴らしい医者はまだ病になっていない状態を治す人と

言われました。つまり「普段の生活や食事で病を治せる人が一番のお医者さんなのだ」

ということです。

 

早速、ほくほくしながら梅雨のむくみをとる「とうもろこしのスープ」と体の熱を冷ます「苦瓜の肉詰め」、

その他の料理もいくつか作ってみました。

結構、素朴な作り方で出汁もとらなかったり味付けが塩だけだったりするので、美味しいのかなこれ?

といった感じで恐る恐る試してみたのですが、これが素晴らしく美味しいのですね。

「良薬口に苦し」といいますが、これは漢方薬に関しては結構でたらめで

体に合っているものは非常に美味しく感じられるのですが、

きっと体にあっていたのもあるのでしょう。

 

ああ、これが薬膳か、というような、感動がありました。

体を受け止めてくれるような、何と言ったらいいのか

説明は難しいのですが非常に全体のバランスがいいのです。

料理に力や自信のようなものがあって

これは作る段階でしっかりと練り込まれたレシピなのではないか?と思いました。

味も作り方も余計なものがなくシンプルかつクリア、そこに格好良さみたいなものを感じるのです。

この本のレシピにすっかり惚れてしまいました。

 

私も普段、自分の体でハリ灸の効果を色々試してみていますが、基本の体を作っているのは

「食事」なので、この食事を変えたときの効果というのが(哀しいかな)やはり一番、強力です。

体の基礎力を調えた上で、ハリ灸を施したり漢方薬を飲むと効果がテキメンに違います。

そんな訳で、『薬膳の基本』のレシピを夕飯にした翌朝は起きたときに元気のレベルが違いました(^_^)

「食医」が一番、位が高かったというのも素直に納得ですね。

 

薬膳でも医療でも、東洋医学の根っこにあるのは「道教」の神仙思想なのだろうと思います。

道教では輪廻を認めないので、非常に現世利益的な考え方をします。

人間の自然な欲望も認めるので、あまり禁欲的にならないです。

薬膳料理は「体にいいってことはマズイんでしょ」という台詞には当てはまらない、

むしろ料理によっては贅沢で美食の部類に入りそうな勢いです。

それで体が丈夫になり、健康になる。

一歩間違えると生薬を乱獲したり、かなり自己中心的なものにもなりえますが

まず家庭料理で利用するくらいではそんなことにはならないですし、

もっと普通に広まればいいのにな~と思います。

 

東洋医学、中医学を学ぶにつけ、こういうものを作り上げた中国というのは本当にすごいと思います。

ミステリアスかつ魅力的な憧れの国です。

 

 

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中医学と東洋医学

去年思い立って作ったページですが、何から書こうか迷っているうちに年を越してしまいました(;。;)

 

東洋医学を語るのはなかなか難しくて(個人的に)、どこからお話をしようか何をお伝えしたら面白いのか、などなかなか決められませんでした。

迷ったすえ、最初は常識的なことをお伝えしようかな、と思います。

 

まず、「東洋医学」ですが、広義のものは

なんとなくイメージする東洋医学より、ずっと広い範疇の医学になります。

インドのアーユルベーダ、アラビアのユナニ医学、インドネシアのシャムウ、チベット医学、モンゴル医学、中国の中医学、韓国の韓医学などなど

アジア地域全体の医学の総称を、

「西洋(ヨーロッパ)の医学」に対する「東洋(アジア)の医学」と、ざっくりカテゴライズされます。

 

「中医学」は中国全土に広がっていた様々な流派の医学を

中華人民共和国の成立後、国家主導で1つの体系にまとめたものです。

これはすごいことだと思います。国を挙げた大仕事です。

 

その内容は「古典」と呼ばれる医学古書の解釈を根にしています。

「古典」は先人の、人体観察と治療記録の集積から成り、

人体の機能系を、五行説にまとめて解析していきます。

紀元前から様々な病の治療に、非常に有効なシステムとして使われ続けているのがすごいです。

人間の体の本質的な営みは2000年前から変わっていなのだなぁ、と思いますし

それを観察・記録していた中国の古人の感覚は非常に優れていたのだなぁ、と思います。

 

「古典」には様々な解釈が成り立ち、流派間の争いなんかもあったのではないか

と思うのですが、そこを国の力業で(^_^)

漢方、鍼灸、薬膳すべての基礎となる人体の生理・病理、処方などを「中医学」のなかに

とても合理的なシステムとしてまとめあげました。

この基礎のシステムがあると、教育がスムーズにいくので、

一定水準の知識と技術を持った医療人が育つわけです。

 

ちなみに私が講座やワークショップで用いている理論は、ほぼ中医学が基礎となっていて

そこに個人の経験をプラスしてお話しています。

 

日本で呼称される「東洋医学」は何だか少し漠然としています。

これは歴史の問題だと思います。

日本の医学は、中国や韓国から医師を招いたり、医学書を輸入したりするなかで発展していきました。

医学書や情報の入手が困難なこともあり、「素問」や「霊枢」、「傷寒論」など

聖典といわれるような医学古典を研究し、湯液(とうえき・漢方薬)、鍼灸、養生法、民間療法など

日本の風土に根ざした医学を発展させました。

 

これらは西洋の医学、「蘭学」に対し、漢方(中国の方)の医学ということで

「漢方医学」と呼ばれました。これが、日本で現在、言われるところの東洋医学です。

 

しかし中医学と違って、1つの体系にまとめられていないため

日本の東洋医学は、矛盾や謎が多く、初学者には学びにくいというのが正直なところだと思います。

鍼灸学校では、東洋医学は私にとってはすごく分かりにくいものでした。

中医学はとてもまとまっているので、学び初めて、ああ、そうかということがとても多かったです。

今は日本の鍼灸関連の書籍も読めるようになりましたが、以前は混乱してしまって読めませんでした(;。;)

 

 

もとい、江戸時代には多くの医家が存在し、たくさんの医書が書かれているにもかかわらず

私たちが目にできる医書はほんのわずかです。

幕末以降、漢方医学を迷信として排斥、抹消しようとした悲しい歴史が関係しているのでしょう。

 

けれど、東洋医学は江戸末期まで日本で、かなり有効なものでした。

東洋医学は「未病医学」とよく言われるように、

病気の芽である小さな不調を改善する方法がたくさんあります。

 

誰に言っても分かってもらえないだろう、というような心身の悩みが

東洋医学の書籍を読んでいると、きちんと記載があり、その改善策までも導き出せます。

そんな発見があるたび、先人の苦労・努力の積み重ねに、すごいなぁと溜息が出ます。

 

中国や韓国では現在でも、その有効性から国が伝統医学をしっかり守っています。

中国の映画には詳しくないのですが、韓国では「ホジュン」や「チャングム」、「馬医」など

国営放送で、伝統医学のドラマをつくっていますよね。

ドラマ「仁」はすごく面白くて大好きなのですが、日本だと大体、江戸時代に蘭学を広めようとするけれど

漢方の医家に弾圧される、みたいなことを描いているのがすごく多くて、

ああ、またか、とちょっとがっかりします。

チャングムのようにスマートな女性が活躍するような物語が日本にもあれば

歴史に興味関心がもちやすく、もっと学ぶ意欲が持てるのになぁと思ってしまいます( ̄0 ̄)

 

 

韓国では儒教の影響から、高貴な女性の体は女性が見なくてはならないため

チャングムのような女性医師が存在しました。

日本では女性の医家はいません。が、西洋に魔女がいたように、医療に関わった女性がどのくらいか

いたのではないかと想像しています。産婆さんなどはいたようです。

引き続き調べていきたいと思っています。何か分かれば面白いですね☆